腸内細菌叢についての考察

腸内細菌叢に関する世界の論文数は2009年に300程度だったものが、2018年には5000を超えるまで増え、この10年間に最も注目された医学分野とも言えると思います。ヒト体内に存在する菌種は500から1000種類、菌数は人を構成する細胞数を上回る100兆個以上、重さにして1〜2kgあるとされています。ヒトの常在菌は皮膚を始めとして、消化管、呼吸器系、口腔、膣、などに存在していますが、90%は消化管に腸内細菌叢として生息しているのです。
生後1カ月にはビフィズス菌が増殖し大半を占めるようになります。離乳期にはビフィズス菌はやや減少し、バクテロイデス属やクロストリジウム属、ユウバクテリウム属が増加。3歳から成人期にはバクテロイデス属、ビフィドバクテリウム属が増加、加齢とともにビフィズス菌の比率は下がってくると言われています。さて、このような正常な細菌叢を乱すこと(腸内細菌の撹乱)が多くの病気を引き起こしていることは明らかになってきました。それでは小児においてこの、撹乱を起こす要因はどのようなものでしょう?
早産、帝王切開、人工乳、抗生剤、環境(気候、家族構成、ペット)などがあげられます。この中でも、特に強調したいのは抗生剤は腸内細菌の多くを死滅させてしまい、叢には大きな影響を与えてしまうことは明らかです。
乳児期に限らず、細菌感染と確定できないような時に対する、抗生剤の乱用は避けていきたいものです。